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Facebookの独自仮想通貨「Libra」はフランスとドイツからブロックされることが決定&各国中央銀行からも厳しい調査を受けている


2019年6月、Facebookは独自の仮想通貨(暗号資産)「Libra」を発表しましたが、フランスとドイツは共同でこのLibraをブロックする方針であることを発表しています。

Facebook Faces EU Scrutiny, France & Germany to Block Libra
https://finance.yahoo.com/news/facebook-faces-eu-scrutiny-france-124812339.html

Why we should embrace Facebook's Libra despite the EU's ban
https://www.telegraph.co.uk/business/2019/09/16/should-embrace-facebooks-libra-despite-eus-ban/

フランスは仮想通貨間の取引を非課税にするなど、仮想通貨の普及に積極的な国ですが、FacebookのLibraに対しては「貨幣の力は国家主権に固有のものであり、民間主体の団体がそれを求めることはできない」と主張し、ドイツと共にLibraをブロックする方針を発表しました。

Libraは仮想通貨であるため、これが普及することですべての金融取引がドルやユーロの代わりにLibraを使用することになる可能性もあります。Libraの登場により既存の銀行および金融システムの安全性が損なう可能性があるということで、世界中の中央銀行および規制当局が、Libraをブロックするために行動を起こしているとYahoo Financeは記しています。

国際決済銀行は、Libraが適度に普及すれば、Libraのパートナー企業である民間企業が金融政策を制御できるほど巨大な存在になる可能性があると示唆しています。


こういった影響を考慮し、フランスおよびドイツという欧州連合(EU)における2つの経済大国が、Libraをブロックする方針を固めています。なお、フランスとドイツはLibraをブロックする代わりに、公開暗号通貨を開発するという欧州中央銀行へのサポートを拡大することを発表しています。

フランスおよびドイツからブロックされることとなったLibraは、EUの欧州連合競争法(日本における独占禁止法)に違反するとして、調査の対象となっているとも報じられています。また、Financial Timesの報道によると、Libraは連邦準備制度イングランド銀行を含む26もの中央銀行による厳しい精査を受けているそうです。

加えて、Libraの発起者であるFacebookはアメリカ国内の政治家から多くの批判も集めています。上院議員からは「妄想的」や「危険」と揶揄(やゆ)され、ドナルド・トランプ大統領からも仮想通貨市場への参入を批判されています。

トランプ大統領は「私はBitcoinなどの暗号通貨のファンではありません。暗号通貨はお金ではなく、その価値があまりにも揮発性の高いものに基づいているためです。規制されていない暗号資産は、麻薬取引やその他の違法行為を促進することもできます。同様に、Facebookの仮想通貨であるLibraも、信頼性のないものです。Facebookやほかの企業が銀行になりたいというのなら、彼らは新しい設立許可書を求め、他の銀行同様にすべての銀行制度の対象となる必要があります」とツイートしています。

....Similarly, Facebook Libra’s “virtual currency” will have little standing or dependability. If Facebook and other companies want to become a bank, they must seek a new Banking Charter and become subject to all Banking Regulations, just like other Banks, both National...

— Donald J. Trump (@realDonaldTrump)


アメリカの政治家からの厳しい反応を受け、Facebookは今後Libraが銀行などによる厳しい規制に直面する可能性があると示唆しています。

LibraはFacebookを含む28の企業から成るLibra協会による完全合議制での運用が想定されています。このLibra協会はスイスに本拠地を構えることとなるそうですが、このメンバー企業のビジネスモデルについてもアメリカでは精査が行われているとのことです。このような背景から、Libra協会のメンバー企業である2社がLibraからの撤退を検討しているとも報じられています。


Libraに対しての規制および厳しい調査は乗り越えなければいけない高い障害になる一方で、「徹底した調査をクリアした仮想通貨」という信頼性をLibraにもたらす可能性もあります。また、Libraの主張する低金利での取引が可能になれば、「消費者はLibraを簡単に受け入れることとなるだろう」とYahoo Financeは指摘。

さらに、Yahoo Financeは「Libraが東南アジアや東アフリカ、ラテンアメリカなどの地域で起きる銀行不足を解消し、長期にわたってこれらの地域の成長を促進する役に立つ可能性もある」と、その可能性に期待するコメントも記しています。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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