韓国新大統領・文在寅(ムン・ジェイン)に相次ぐスキャンダル

怪しい息子の不正採用疑惑

鍵を握る「保守」

韓国大統領選挙まで残すところ2週間余り、主要政党の候補者が出揃った。

最大議席を誇る野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)、第2野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)、与党「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)、唯一の女性候補で進歩性向の「正義党」から出馬した沈相奵(シム・サンジョン)、与党から離脱し結成された保守性向の野党「正しい政党」の劉承旼(ユ・スンミン)である。

最新の世論調査(4月3週目ギャラップ調査)によるとそれぞれの支持率は文候補(41%)、安候補(30%)、洪候補(9%)、沈相奵(4%)、劉候補(3%)であった。注目すべきは、2位の安候補の支持率だ。今週に入って少し数字を落としているが、わずか3週間前の調査から10%以上も上昇している。

それどころか、文候補と安候補の一騎打ちとなった場合どちらを支持するかという調査(4月5日YTN世論調査)では、文候補と回答した人が41%に留まったのに対し、安候補と回答した人は47%に達し、文候補を逆転する結果が示されたのだ。

「政治は進歩、安保は保守」を訴える安哲秀

昨年の中盤以降、大統領選の支持率に於いて、常に1位を走り続け、自ら「準備のできた大統領」と称してきた文在寅がここにきて安候補の猛追を受けている。

最も大きな理由は反文勢力が安哲秀支持に回っていることだ。保守勢力は文候補の当選を強く懸念している。保守層の立場から見れば、北朝鮮にある開城工団の操業再開および規模拡大、金鋼山観光の再開等、北朝鮮に対する支援や経済協力を強調する文候補は警戒せざるを得ない対象だ。

 

4月19日に行われたテレビ討論(KBS)で、他の候補者から「北朝鮮は我が国の主敵か?」という質問を受けた文在寅が「大統領が語る内容ではない」と明言を避けたことが注目されている。

「政府公式文書に北朝鮮軍は主敵だと記されているのに、軍統帥権者である大統領(候補)が北朝鮮軍を主敵だと言えないなんて通用すると思いますか」と北朝鮮に対する立場表明を求められたが、はっきり答えられず逃げ回る姿には「安保」に対して敏感な保守層のみならず中道層からも冷たい視線が集まっているのだ。

このような文候補の当選だけは阻止したい保守層であるが、保守勢力の候補である洪候補と劉候補を1本化したとしても現在2位の安候補の支持率にも及ばない。

そこで、保守候補に投票したいが当選の可能性が低い保守候補に投票し1票を無駄にするよりは、文候補ほど左に偏ってなく当選可能性のある安候補を選ぶことで文候補の当選を阻止しようと雰囲気が強まっているのだ。

つまり「どうせ保守が政権取れないなら、左翼よりは中道派がマシ」という気持ち、いわゆる「最悪(文在寅)」よりは「次悪(安哲秀)」を選ぼうという心理だ。

そこに最近になって安候補がTHAADミサイル配備反対だった当初の主張を修正し、「受容する」としたことも保守層の票を吸収するための動機づけとなっている。政治と経済については「進歩」、安保については「保守」のハイブリッド政策を打ち出したことが支持階層の幅を中道から保守層まで広げ、支持率の上昇へとつながった。

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